高校生が作るローカルでレアな魚介パスタ
四季折々、いろとりどりの庄内浜の魚たち。1年でおよそ130種もの魚が水揚げされるといいますが、その多くが県外の市場に出荷され、売れないと判断される他の魚は“はじき”になっていることを知っていますか。
それに着目した加茂水産高海洋資源科(以下、加茂水)と庄内農業高食品科学科(以下、庄農)の3年生は、大きさや数量がバラバラだったり、キズが付いたりして売り物にならなくなった低利用魚の料理を考案。11月3日、鶴岡市の「ふじしま市場たわらや」で「課題研究合同試食会」を開催しました。
レシピ制作にあたって、まず取り組んだのは素材選び。今春、加茂水の生徒は鼠ヶ関港の漁師や仲卸屋などに、鶴岡の海で獲れる魚について聞き取り調査を行いました。そのお話の中で興味を持ち、採用したのがヤナギダコとボウズイカ(総称:耳だこ)。庄内浜の底びき網漁で揚がるこの魚たちは、漁獲対象でない魚種のため、流通でなかなか取り扱いがありません。しかし、せっかく獲れた魚なのに食べなきゃもったいない!と、生徒たちは耳だこを使った料理のアイディアを出し合いました。
庄農生が使ったのは黒エビ。甘エビやガサエビなどをまとめてこのように呼びますが、耳だこと同じく底びきで獲れる認知度の低い魚類です。
両校はこれまでにうどんとラーメンを共同製作し、今回が第3弾。加茂水の海産物、庄農の野菜と生麺という、互いの強みを生かした各校のパスタが完成しました。加茂水の「耳だこのピリ辛トマトソースパスタ」と、庄農の「黒エビのクリームパスタ」です。
「耳だこのピリ辛トマトソースパスタ」(左)と「黒エビのクリームパスタ」
当日の試食会では各50食を提供。パスタをさらに美味しくするためにアンケート調査を実施して、缶詰やレトルトパウチでの販売も計画しています。
パスタの試食以外にも、庄農生自らが育てたさつまいもとりんごのタルトや柿の葉茶の試食(試飲)、同校の庄農うどんや、加茂水のサンマなどの魚の缶詰が販売されました。
例年にぎわいを見せる各校の文化祭は、今年度やむなく中止となり、その他のイベントも軒並み縮小となる中で、「やっと皆さんに食べてもらえてうれしい」と笑顔の生徒たち。庄内農業高主任実習教諭の叶野哲さんは「(生徒たちにとって)作ったものを自分で食べるのがゴールだったり、誰かの口に入るのがゴールだったり。これからもいろんな学びを実践していきたい」と、学生主導の地産地消の実現を目指しています。