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コラム

寒鱈レポート2023冬~高校生の寒鱈汁~

2023.03.01

小寒から立春までの寒(かん)の時季にあたる1月末、“高校生が作る寒鱈汁”を求めて酒田南高等学校を訪ねました。毎冬恒例の「寒鱈フェア」が、今回はテイクアウト限定で久しぶりにお客様を迎えて行われ、多くの人が訪れました。

 

高校生が腕を振るう

毎冬恒例、寒鱈フェアへ

寒の入りの頃に水揚げされるマダラ(真鱈)こと「寒鱈」。数ある寒鱈料理の中でも、身やアラ、白子や肝もすべて入れて煮込む「寒鱈汁」はその決定版です。

酒田南高等学校の寒鱈フェアは「味覚フェア」の冬編として、2011年にスタートしました。きっかけは当時、東日本大震災で被災し酒田に避難していた皆さんを励ましたい、食を通じて元気になってもらいたいという想いから。以来、春、秋、冬と行われ、現在は一般の皆さんに向けて開催されています。

 

調理を担当するのは、食育調理コースの1~3年生。前日から準備を進め、当日の調理、販売まで全生徒で取り組みます。「先輩から教わること、後輩への指導などを通して、普段の調理実習では味わえない刺激を受ける良い機会になっていると思います」と伊藤克子先生。お客様に喜んでいただくことが、生徒たちの日々の調理の励みになっていると話します。

 

今回のメニューはこちら。

10:30 販売開始1時間前

調理室は白熱の様相と思いきや、和気あいあいとした雰囲気。準備もひと段落して、寒鱈汁は仕上げに取りかかっています。

 

寒鱈汁の調理を指導しているのは、加茂水族館「魚匠ダイニング沖海月」の須田剛史料理長です。「身、白子、肝を塩で下処理しています。寒鱈汁は鱈のうま味で作るので、生臭みや雑味が出ないように」。

 

 

「アラは鍋で煮て沸騰したら弱火にしてアクを取り除きます。だしが透明になったら、味噌と塩ひとつまみと酒粕を加えます。みそ汁にならないようにするのがポイントです」。

味見もOKが出て、あとはお客様を待つのみ!

 

11:00 販売開始30分前

調理室での準備も大詰め。いつの間にか外には行列が。

11:30 販売開始

混雑を避けて、入場制限をしながらお客様をご案内。今回のメイン「寒鱈汁」にはさっそく列ができました。身や白子を盛った器に、アラからうま味が出たアツアツの汁をかけてお渡し。

お客様は他のブースも回って、たくさんのお土産を手にされています。

 

そうこうしているうちに1時間ほどで寒鱈汁が完売!最後の1杯を記念撮影。

 

完売御礼!

感慨もひとしおの冬

ここ2、3年間ほどはお客様とふれあう機会が少なく、特に3年生にとっては念願の寒鱈フェアだった今回。生徒を代表してお客様に挨拶した中小原舞奈さんにお話を聞きました。「昨年11月の秋の味覚フェアで、3年生は初めてお客様の前で料理を提供しました。実際に声を聞けるのは本当にいい経験でした。フェアでは、1年生の西洋料理、2年生の中国料理、3年生の日本料理と学んだことを駆使して全員で取り組みますが、3年生は後輩に教えることで学ぶこともありました。寒鱈は魚体が大きく身もアラも全部使うので下処理は難しい部分もありますが、今回も酒南ならではの寒鱈汁を作ることができたと思います」。

盛況のうちに終わった今年の寒鱈フェア、伊藤先生は高校生活3年間の学びと、生徒たちの将来をこう期待します。「日々の専門的な調理やさまざまな行事を体験する中で、庄内の伝統文化を学びながら、先輩たちの背中を見て将来の進路を見据えていけるような時間を過ごしてほしいと思います。将来、調理師として働いたときに伝統文化を伝承していける料理人になってもらいたいです」。

 

寒鱈汁のごちそうさまの後に……

昨夏の「海のマルシェ」で“鯛だし麺”と“鯛”を使って酒南生が考案したメニューを入手しました!

【鯛のフィッシュパイ】

レモンとバジルを加えて、中にはパプリカも。ホワイトソースとよく合います。

パイをサクサク崩して食べるのが楽しい一品。

【パッ鯛風焼きそば】

タイの焼きそば「パッタイ」を鯛だし麺で作った「パッ鯛」。

鯛だし麺の風味が、意外や意外、甘辛のナンプラーと相性良し!具だくさんで食べ応えも十分。

【鯛だし麺生春巻き】

テイクアウトに向くようにと考えたワンハンドメニュー。鯛だし麺とハム、わかめ、万能ねぎ、卵焼きを生春巻きと海苔で巻いて、サルサソースでいただきます。

 

鱈と鯛という縁起物をいただいて、今年も良い年になる期待がひしひし。

冬の風物詩、寒鱈汁がしみじみとおいしい冬の日でした。ごちそうさまでした!