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コラム

未利用魚 新時代!

2023.09.28

みなさんは“コノシロ”という魚をご存知でしょうか?あまりスーパーなどで目にする機会はありませんが、実は、すしネタとしてよくご存知の“コハダ”が大きくなった魚です。
“コノシロ”は出世魚の一つで、サイズによって呼び名の変わる魚ですが、4 ㎝程度の最も小さな時“シンコ”が1番値が高く、江戸前寿司の華とまで言われています。
しかし、サイズアップするにつれ価値はどんどん下がり、16 ㎝オーバーのコノシロともなると、庄内浜では低未利用魚と呼ばれ、あまり価値がつきません。
その理由は、小骨の多さ。
取り除いて食べるには手間がかかるため嫌煙されています。

 

今回、その課題に光を指すべく挑んでいるのが、羽黒高等学校キャリアデザインコースの2年生、名付けて「庄内サカナちゃん」チームの4名の生徒たちです。
LOCAL FISH CAN グランプリ 2023(海と日本プロジェクト主催)において、彼女たちの考えた企画が見事予選を突破!
10 月 8 日に開催される決勝大会へ向けての試作の模様を取材させていただきました。

 

今回のこの企画を立てるために、漁師さんや山形県水産研究所や市内の飲食店などに協力を仰ぎ、庄内浜の課題をしっかりとリサーチしました。
・獲れていても売り物にならない魚がいること
・食べるために、かなりの手間がかかる魚もあること
・山形県は海上養殖に適した場所がなく、天然魚のみに依存していること
などの課題を聞き、考案したのは「コノシロを具材に使用したラーメンスープ缶詰め」!

コノシロの知名度を上げ、食品としての人気を高めるために、山形の絶対的県民食“ラーメン”とコラボさせようという、この柔軟な発想が高校生ならではです。
そして、食材として最もネックとされる小骨の多さは、缶詰にすることで圧力をかけ、柔らかく骨まで食べられるようにすることで、コノシロの魚本来の美味しさを味わってもらえる!というミラクルなアイデア!
商品名は「コノシロの乱 ラーメンの援軍」です。

この日は第一回目の試作日。
な、な、なんと「庄内サカナちゃん」の 4 名、魚を捌いたのは今回の企画にむけての初挑戦!庄内浜文化伝道師の佐藤剛さんにも指導いただきながら、1 匹ずつ丁寧に魚をさばいていきます。

この日は魚捌き二度目というのに、思い切りの良さとのみ込みの速さはさすが高校生(笑)他の具材もなるべく庄内産のものを、ということで、メンマなども地域で作っている方にご提供いただきました。

三枚におろし、ひと口大に切り分けた魚を缶に詰め、ラーメンのスープを入れて、この日は数種類味や具材にバリエーションを加えたものを作成。
缶詰め加工のため、県立加茂水産高校に協力いただき、第一弾の試作品が完成しました!

数日後、第一弾試作品の試食会が開かれました。
より完成度を高め、美味しい商品を作るため、鶴岡の大人気ラーメン店“琴の”のご店主にアドバイスをいただきます。

数種作った商品を食べ比べながら、
「こっちの方が魚の味がするね」
「骨は全然気にならないね」
「生臭さをもう少し抑えるにはどうしたら良いかな」
「ラーメンだけじゃなく、パスタとかにも使えそうだね」など、次の試作へ向けて、どんどんブラッシュアップの意見が出ます。

“琴の”さんからも、缶詰に入れるスープの量や濃さ、魚の生臭みを取る方法などのアドバイスを受けました。
“琴の”さんにお話を伺うと、日本国民が大好きなラーメン、そのスープの命ともいえる出汁に使うカタクチイワシが年々減っていて、ラーメン業界でも困っているんだそう。
これらも温暖化や水質の変化などによるものと推察されているため、これからの時代、ラーメンのスープの原材料となる魚も変化していくのかもしれません。

さて、私も 4 人の高校生一押しの一缶をいただいてみました。
初めに口をついて出たのは、
「これ…にしんそばのニシンとそっくりだね!」そうなんです!
コノシロはニシン科のため、私たち山形県民(特に内陸部)には非常になじみ深い味でした!
若い彼女たちには新鮮な味、私たちにはなじみ深い味で、美味しくないわけがない!
固定概念を外すと、低未利用魚と呼ばれる魚たちには次の新時代が待っている、そう確信しました。

第二回の試作を終えて、10 月の決勝に向けて着々と準備が進んでいます!がんばれ「庄内サカナ」チーム!がんばれコノシロ!

LOCAL FISH CAN グランプリ 2023 詳細はこちらから。
https://localfishcan.com/